日本酒離れ ではないよ。

カテゴリー │酒屋の仕事

昨日の中日新聞の夕刊で、 日本酒離れ についての
短文が一面下段の『夕歩道』で記されていた。

日本酒の販売量がこの十年で4割減った。老舗の蔵元
が倒産し名酒が絶える恐れがある
と、警鐘を鳴らす。

望みは、日本酒ブームに乗った海外戦略と、流行の
火付け役である女性ファンの獲得
 と結んでいる。

ネットの記事をそのまま借用した、ステレオタイプな
コラムだと思う。

確かに全体の数量は落ちている。
この業界の悪しき慣習で、統計数値はすべて容量で
表現する。それは決して金額ベースではないのである。

落ちたのは特定名称酒(本醸造や純米酒や吟醸酒)以外の
普通のお酒。日本酒全体の7割を占めるこのクラスは
確実に落ちている。

どの蔵も、より品質の高い酒(高級酒だけとは限らない)
へとシフトさせ、中身のしっかりとしたものの販売に
注力している。もちろん、我々小売店もその方向にあり
当店のミクロな数字だと、10年前より日本酒は数量で
138% 金額では150%と伸びている。

もちろん、当店がこの業界においての平均的な店とは
考えていないが、日本酒を愛する層は、確実に育まれて
いるのを実感するし、それは若者しかり女性しかりである。
減ったのはむしろ、オヤジ世代の飲酒量かもしれない。

倒産する老舗。老舗だからと言って生きながらえる保障
などどこにもない。無名だけど良い酒を造っている元気
な酒蔵はいっぱいある。名酒はブランドにあらず、中身
にこそ、もっと目を向けていただきたい。

日本酒ブームに乗った海外戦略。過去対比の数字で見ると
輸出は飛躍的に伸びている。これはもっと伸びるであろう
し、伸ばすべきでしょう。ただ、その背景にあるのは、
純米酒を中心とした品質の確かなもの(アル添三増酒のた
ぐいはNO)しか海外に出せないという事情。そして、それ
らの酒は確実に支持を得ている。という事実。


これは、国内においても同じこと。
つまり、トータルとしての日本酒の販売数量は減少して
いても、確かな品質のものは着実にその地位を確保して
おり、『日本酒離れ』という一言で片付けて欲しくない
というのが、それを生業としている立場から、言いたい
のであります。

21日から 日本酒講座を開きます。
現在 8名の生徒さんが集まっておられます。
少ない人数でも、心を込めて解説し、じっくりと楽しんで
いただき、真の日本酒ファンになっていただくよう努力します。

まだまだ 日本酒の未来は明るいぞ!






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この記事へのコメント
一時に比べると、日本酒にとっていい時代に
なってきているんじゃないかと、私は思います(^^ゞ

以前は、いい日本酒(質の高いもの)が飲める場所、
買える場所がなかなかありませんでしたけれど、
最近はいろいろなところで、いいお酒を飲むことが
できますから。

それに、日本酒を楽しむ女性が、確実に増えて
いますよね。これは大きいと思います。

私みたいなおっさんが飲むのとは、わけが
ちがいます(・ω・)\バキッ
Posted by tougo at 2010年10月19日 19:34
tougoさんのように 判るオッサン(・ω・)\バシッ も とっても大事です。
いや ボリュームゾーンは、そんな判る人なんです。

ですから、若い人や女性の飲み手を、判る人に変えていく努力 これが必要なんです。そのためには、飲酒環境が楽しいものでなければいけません。
Posted by 静岡酵母 at 2010年10月19日 20:39
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